
今回は、7033 MSOL(マネジメントソリューションズ)とはどんな会社か確認していきます。
近年は魅力的な成長性が株価に反映され、一時はPERが100倍以上になるほど株価が上昇しました。
適正PERが如何ほどかはわかりかねますが、市場の評価が高かったことは確かです。
そんなMSOLの事業や展望を確認しつつ、株を買うべきかの判断材料としたいです。
MSOLの事業内容
MSOL(マネジメントソリューションズ)はコンサルティング事業の単一セグメントであり、事業内容は非常にシンプルです。
ここではコンサルティング事業の細かい内容を確認してみます。
1.プロジェクトマネジメントの実行支援
MSOLの根幹を成す業務であるプロジェクトマネジメントの実行支援。
PMOの役割でプロジェクトに参画し、プロジェクト達成の補佐をするものです。
PMOとはプロジェクト・マネジメント・オフィスの略称で、PM(プロジェクトマネジャー)を補佐する業務です。
プロジェクト全体の進行管理や関係部署、ステークホルダーとの調整など、PMが意思決定しやすい環境を提供するのが役割になります。
個別のプロジェクトだけでなく、会社の運営そのものにPMOを提供することも可能なので、その守備範囲はかなり大きそうです。
2.MSOL Digital
DX化推進支援やデジタル人材育成を主とする業務です。
MSOLにはPMOとして参画したDX案件が多いはずで、DX支援のノウハウが蓄積されているため、事業化しやすそうですね。
3.マネジメントコンサルティング
コンサルティングも事業としています。
多くの企業はコンサルティングの一つとしてPMOの役割を担うことが多いですが、MSOLの場合は反対で、プロジェクトマネジメントの実行支援で培った経験をマネジメントコンサルティングに生かしているようです。
4.PMO ONLINE
プロジェクトに直接参加する従来のPMOとは違い、PMOを手軽に利用できるのがPMO ONLINEです。
オンラインやパートタイムのPMO実行支援サービスである「Shared PMO」とプロジェクトマネジメントツール「PROEVER」を使いながらプロジェクト管理をします。
週1-2回の訪問型プランもあり、フルタイムまでは必要ないというケースで利用しやすいサービスです。
テレワークにも対応したサービスです。
個人的には将来的に「Shared PMO」をどこまで伸ばせるかが成長のカギになる気がします。
5.PROEVER
プロジェクトマネジメントツールである「PROEVER」。
このソフトウェアだけを導入することも可能ですが、まだ導入企業は少なく、2021年度期で14社です。
PROEVERを導入する企業を増やすことにも注力してほしいですね。
業績

MSOLのビジネスモデルは「月単価×コンサルタント数×稼働率」です。
毎年多くのコンサルタントを採用しているので業績は右肩上がりです。
稼働率も約90%と高水準を維持しています。
売上高は毎年順調に増加しています。
過去3期にわたって売上高を前期比130%程度出しているのはすごいの一言です。
営業利益も2021年10月期は9億円強と、数字として結果が出てきています。
株主優待は2021年10月期をもって廃止
株主優待は、2021年10月に付与された権利を最後に廃止と発表されました。
保有株数に応じてポイントが付与されるタイプで、ポイントが少ないとめぼしい商品がない残念な株主優待でしたが、なくなるのは寂しいですね。
長期保有特典があり、2年目以降はもらえるポイントが10%増えるのが地味にうれしかっただけに廃止は残念です。
今後の展望
中期経営計画 MSOL Vision 2025
2019年12月に発表された中期経営計画では、中計最終年度の2025年10月期に売上高230億円、営業利益50億円、社員数1,000名超を目指すことを表明しています。
ただし中計については見直しを表明しており、発表は2022年12月とのこと。
順調に計画以上の進捗が見られることから、見直しは上方修正ではないかと期待してしまいますね。
PMO需要は今後も旺盛
DX推進や働き方改革など、抜本的なプロジェクトは今後も多くなるはずで、PMOの需要は高まりそうです。
世の中のスピードが速まっていることから、さらなる抜本的なプロジェクトは増えていくとも考えられます。
また、個別プロジェクトは永遠になくならないので、当然PMOの需要がなくなることはありません。
PMOが有用だという認識が広まれば、MSOLが活躍する場はさらに広がると考えられますね。
プロジェクトマネジメントは第三者に任せるのが理にかなっている分野です。
内部の人間では、よく見せようという無意識の力が働くため、報告内容や途中経過に都合よくバイアスがかかってしまう恐れがあります。
リピート率が約90%と高いことからも使い勝手がいいことが伺えます。
現在は大企業がメインターゲットですが、中規模の企業でも利用できるようになると、その有用さからリピートされることも多そうです。
「Shared PMO」が中小企業に浸透すると、かなり大きなパイを取得できそうです。
ただし現在は大企業へのプロジェクトマネジメント実行支援がまだまだ需要があるようなので、こちらに重点を置くことでスピード感のある成長が期待できそうです。
海外展開
2015年に台湾、2018年に中国に子会社を設立し、2022年にはPMOの聖地アメリカに子会社を設立しました。
ただ海外の子会社に特に目立った展開はなさそうです。
海外子会社の成長がみられるようになるとうれしいですね。
M&A
MSOLはM&Aにも積極的で、これは中計でもチャンスがあれば、M&Aにより成長を加速させると表明しています。
実際に2021年に㈱テトラ・コミュニケーションズを子会社化しています。
㈱テトラ・コミュニケーションズは生命保険会社に特化した業務・システムコンサルティングを生業とする企業なので、生保業界に強みを持ったことになりますね。
今後も機を見て、その業界に特化した企業をM&Aしていくはずです。
懸念される事項
コンサルタント数を増やし続ける限界
コンサルタントを増やしていくのにも限界があります。
同じ100名の増加でも、500人から100人増加するのと、1000人から100人増加するのでは増加率が異なります。
MSOLのビジネスモデルは「月単価×コンサルタント数×稼働率」なので、コンサルタントの増加率が下がれば、売上高の増加率も下がる可能性が高いです。
現に、近年の急成長はコンサルタントの大量雇用が理由です。
しばらくはコンサルタントを増やすことで、目を見張るスピードで企業が成長するでしょうが、一定のコンサルタントを雇用する時期になったときの成長鈍化懸念が気になります。
2025年10月期までに社員数1000名超を計画していますので、少なくともそれまでは毎年コンスタントにコンサルタント数が増えていきそうなのは安心材料です。
PMOが日本に根付くか
現在は大企業がメインの顧客となっているMSOLのプロジェクトマネジメント実行支援ですが、これが日本に根付くかという問題があります。
実際はこれが一番重要なことかと思います。
おそよ9割が中小企業の日本社会で、事業のパイを広げるためにはPMOが有用であると日本に定着する必要があります。
大企業や外資系企業以外にPMOを根付かせるためには、「Shared PMO」や「PROEVER」を地道に広めていく必要がありそうです。
PMOは珍しいものではなくなった
PMOが日本に根付くかどうかは別として、PMOという役割自体はかつてのようにMSOLのみが特化するブルーオーシャンではなくなりつつあります。
結局のところ、コンサルタントの一業務であることから、多くのコンサルタント会社もPMO事業に参入してきています。
MSOLがPMOのリーディングカンパニーになれるかどうかは、将来のMSOLにとって非常に重要です。
やはり業界ナンバーワンという名誉は、仕事を取るうえで非常に大きな強みになりますからね。
総括
業績で結果を出している企業というのは、本当に魅力的ですね!
今後の業績拡大も見込めることから非常に楽しみな銘柄です。
PER100倍は買う気になれませんが、2020年度期の本社移転や2022年度期のコンサルタント大量雇用などの先行投資により利益が減り、結果として株価を下げる時期があります。
そういうところで買いたい銘柄ですね!
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