景気に左右されやすい不動産関連銘柄ですが、最近はどこも絶好調で、四季報をみるとどこも「連続最高益」「連続増益」「好調」などと景気の良い小見出しが掲げられています。
まだ日本の景気は良さそうですね。
ところで、今後も不動産関連銘柄にこの勢いが続くのであれば買っておかなくては損だとついつい思ってしまうのも正直なところです。
しかも不動産関連株は低PERのままなので、尚更魅力的に見えてしまうんですよね。
不動産「売買」銘柄にはご用心
不動産関連銘柄といっても該当する業種は結構ありますが、特に一気に売り上げと利益が上振れているのは不動産の「売買」を生業とする銘柄です。
そして低PERなのもこの不動産「売買」銘柄です。
不動産「売買」銘柄は、景気の良いときは一気に業績を伸ばしますが、景気の雲行きが怪しくなってくると利益が大きく毀損していく業種です。
特にB to C (一般消費者に向けた販売)の場合は、一つ一つの商品の金額が大きいゆえに、一般消費者は景気悪化によって購入に慎重になりますから、大幅な値下げをして売ることも多くなります。
景気が良く、不動産価格が高かった時期に購入に踏み切れなかった層が景気後退局面でマンションや戸建てを買い切ったら、あとは不景気を耐え忍ぶのが不動産売買銘柄です。
また、来年には消費税増税が待ち構えていますので、消費税増税前の駆け込み購入で需要を先食いしてしまう懸念もありますね。
こう考えると、今はなかなか手を出しにくい業種だと思えてきます。
もちろんマンションなどを手掛ける工務店も厳しくなってくるので、買い控えたいものです。
反対に、不動産関連銘柄でも比較的安心感があるのがストック収入を主とする銘柄です。
例えば賃料収入や不動産管理料を利益の源泉とする企業は売買銘柄のように一気に売り上げや利益が減ることはないでしょう。
もちろん、景気が悪くなれば賃料が下がることもありますので、利益率が低くなることはあるでしょうが。
Jリートと不動産「賃貸」銘柄ならどちらが買いなのか
賃料収入というと、Jリートはまさに賃料収入を目当てに投資する商品ですが、賃料収入を主とする不動産銘柄とJリートだと、どちらが投資に向いているのでしょうか。
Jリートの良いところは、収益の90%以上を分配金に回すことで法人税が非課税になりますので、賃料収入の利益のほとんどが分配金として回ってくることですね。
1口当たりどの程度分配金をもらえるのかが大切な利回り商品と言えます。
新たに収益物件を取得する方法は、増資をするか銀行から資金を借りるか、または保有物件を売却した資金を原資に新規取得をするかです。
銀行からの資金調達は現物不動産があるおかげで低い利率で借りることができますし、1口当たりの分配金も増えるので投資する側からみると一番いい方法です。(もちろん倒産リスクも高くなるわけですが)
増資による新規物件取得だと、賃料収入は増えますが投資口の総数も増えますので、1口当たりの分配金が増えるとは限りません。
もちろん資金調達は一つの方法だけで行うわけではありませんので増資と借り入れで少しずつ1口当たりの分配金が増えると嬉しいですね。
ちなみに今のJリートだと、平均利回りが4%程になっています。
Jリートは分配金を目的に投資すべきものと考えており、投資口価格はその他の商品の利回りの影響を受けるため、キャピタルゲインを目的に投資するには適さないと思います。(投資口価格が2倍3倍になることはそうそうないですしね)
一方の不動産銘柄ですが、こちらは株価が上がってくれて、尚且つ配当が増えれば最高です。
株価は時勢もありますが、最終的には業績によるものと認識していますので、賃料収入によりいかに利益を伸ばせるかにかかっています。
増資ではなく借入や社債によって得た資金での不動産取得であれば、1株あたりの利益も増える方向にいくでしょうから、株価も上がっていくと思うわけです。
ただ、自社で不動産を取得するには莫大な資本が必要になります。
例えば「8922 日本アセットマーケティング」はドンキホーテへ貸しているテナントの賃料収入が収益の柱ですが、物件取得のために借入はもちろん増資も結構行なっています。
結果として、売り上げも利益も増えているのに1株あたりの利益は大きく伸びず、株価も伸びな悩んでいます。
そう考えると、他人資本で賃料収入が得られる業種がいいのかな、と思うのですが、「8912 エリアクエスト」なんかはサブリースでオーナーからテナントビルを借り、それを別の事業者に貸していますので、自分の懐を痛める事なく賃料収入の差額を収益にできる構造になっています。
これならより多くのビルを借り受け、そして事業者に貸し出すことができれば、増資することなく1株あたりの利益を着実に伸ばしていくことができますので、株価を2倍3倍にしていくことも営業努力によっては可能ですね。
自社物件の賃貸銘柄は避けたほうが良さそう
利回り商品であることを念頭に分配金を目的に投資をするのであればJリートですし、株価の上昇を期待して投資するのであれば、「8912 エリアクエスト 」のような他人資本で賃料収入を得るタイプの企業が良さそうですね。
Jリートと他人資本による不動産賃貸銘柄は別のものとして買ってもいいのではないかと思います。
ただし、「8922 日本アセットマーケティング」のような自社物件を貸し出す銘柄を買うくらいであれば、Jリートを買ったほうがいいとは思います。
コメント